京都西陣織老舗の川島織物 錦本袋帯、黒地色で彩美蜀江柄
本袋帯ほんぶくろおびと呼ばれているものは、表側の生地と裏側の生地とが、一枚の生地で筒状つつじょうになっています。つまり、縫い合わせて袋状に仕立てたものではなく、織る時点で袋状に織られています。上の表生地を織ったら、次は下側の裏地を織るというように、回転しながら織るわけです。
組織断面図の本袋帯にある地緯じぬき糸を左から右にたどっていくと、上にある糸が下に行き、その後、再度上に戻もどってきています。このようにして約4mもの袋帯が織られていますが、実は、断面図にあるように袋状になった内側に文様が出るように織られていきます。織り上がった帯全体を、そっくり裏返して、はじめて全部の文様もんようを見渡すことができます。
本袋帯を織る職人は、織り上がるまで文様が見渡せないので高度な熟練技術が必要とされます。高い技術と長い製作期間で織られた本袋帯ですから、当然のことながら生産数量には限りがあり、高価な商品となります。しかしながら、本袋帯には、大きなメリットもあります。